MH15.2 ミュージカル「君よ知るや南の国」を歌った頃


 昨年から「天地真理さんの大人の歌ってなんだろう?」という記事を書き、先月から「想い出のセレナーデ」や「木枯らしの舗道」以後の1975年、1976年の天地真理さんの大人の歌をLP「小さな人生」と筒美京平作品で考えております。

 さて、当時、21才で引退した山口百恵は、コスモスや曼珠沙華など若くして大人の女性の心情を歌い人気を博しました。ベビーフェイスの森昌子は、演歌歌手でありましたが、23才で「哀しみ本線日本海」を歌い、27才で「愛傷歌」を歌い上げ、翌年引退しました。
 1951年11月生まれで23才であった天地真理さんは、1975年(昭和50年)2月から3月、1か月のヨーロッパ休暇を終え、この年、主演ミュージカルを演じ、かつ、いつものように次の4曲のシングルと2枚のアルバムをリリースしました。彼女もまた、22才の秋から、「想い出のセレナーデ」で本格的に大人の歌、恋する女性の哀しき心情を歌うようになっていました。

・シングルNo.13 「愛のアルバム/京都でひとり」(4月1日)
・シングルNo.14 「初めての涙/君よ知るや南の国」(5月21日)
・主演ミュージカル「君よ知るや南の国」日劇(5月31日~6月24日)
・アルバム「君よ知るや南の国」日劇(7月1日)
・シングルNo.15 「さよならこんにちは/明日また」(9月1日)
・シングルNo.16 「夕陽のスケッチ/小さな人生」(12月5日)
・アルバム「小さな人生」(12月21日)

  天地真理ミニヨンを歌う

  オオイシメロンパンさん 天地真理 ミニヨンの歌

 このころの真理さんのテレビやラジオ番組など、熱心なファンの先達の方々がYouTubeにアップされています。大部分は録音時間が長いので、一度しか聞いていなかったのですが、今回、家内のスマホ購入でタブレットを付けたので、居間でイアホンをつけてもう一度耳を傾けています。
 それで、「天地真理さんの大人の歌って何だろう?」、というよりも、「スタッフが歌わせたかった歌って何だったのだろう?」、そして「真理さん自身が本当に歌いたかった歌ってなんだったのだろう?」といことを考えています。

  Sugi4Geruさん 天地真理 ミニミニインタビュー 1975.6.15

 天地真理さんは、子供のころから国立音楽大学の学生を先生としてピアノを習い、中学・高校の6年間を、国立音大付属校で学びました。そして、ピアノ科の中学3年間で手が大きくならないことに失望し、高校では声楽科に専門をかえざるをえませんでした。
 真理さんは、「私の歌って、クラシックぽいですよね。」とおっしゃいますが、オール・ファルセットで歌う若き日の歌声は、明らかにクラシックのフォークとポップスへの転用と思われます。

 クラシックは、オーケストラで分かるように繊細なピアニッシモと迫力あるフォルテッシモ、繊細な消え入るような歌声とろうろうと会場に響き渡る歌声、アリヤや第九の合唱などで特徴づけられます。何を言いたいかというと、仮説ではありますが、真理さんの本当に歌いたい歌とは、「時に繊細で優しく語りかける歌や悲しみを表現し、時に高らかにファルセットを駆使して歌い上げる」まさに、オペラやミュージカルなのでは、なかったか。演歌などに多い、大人の恋愛、愛憎を歌い上げる美空ひばり、八代亜紀、森昌子、石川 さゆり、そして当時人気のあった「ちあきなおみ」や山口百恵のいわゆる歌謡曲ではなかったのではないか。

 2013年10月、天地真理さんのデビュー43周年の会場で、往年の高いファルセットが出せなくとも、満員のファンの前で声量いっぱいに「ひとりじゃないの」と「秋にあなたと」を歌う真剣な真理さんを思い出し、そのように思い当たりました。
 天地真理さんの全盛期の活躍は短かったと言えるでしょうか。真理さんの意思とは異なり、1975年~1976年はめまぐるしく歌手・トップアイドルとしての環境が変わり、7枚のシングルと2枚のLP「小さな人生」と「童話作家」では、語り切れない思いが、当時の真理さんにはあったのではないでしょうか。一方、キャンディーズや中三トリオら、より若いアイドルたちの爆発的な人気の歌謡界、天地真理さんの周辺環境は一気に変化していたのです。

 歌手・天地真理にとって、ベートーベンのいう苦悩から歓喜、「悲しみと喜び、繊細さと大胆さをともに表現する歌唱が彼女自身の求める歌」だったのではないか。答えの一つはライブ「私は天地真理」にあるのでしょう。

 子供の頃、お母さんの仕事の関係で保育園の施設に住み、幼い子供が大好きな真理さん。冠番組の2年半の継続は自らの休養も全国展開のコンサートも大きく制約するわけですが、決して嫌いではない子供向け番組でした。真理さんの歌は、唱歌も見事、子供から大人までうれしくなる元気を与える「虹をわたって」のような、まさに『恵みの雨』のような歌こそ大きな特色でしょう。
 少しずつではありますが、1975年およびその後の天地真理さんの歌唱に着目した勉強や考察を続けてみようと思います。



MR44 ひこうき雲/天地真理さんの大人の歌って何?(3)


 今年の夏も熱闘甲子園、早稲田実業などの活躍で高校野球は盛り上がり、8月20日(木)、天地真理さんが育った神奈川の東海大相模高校が、東北の悲願・初優勝を祈願される仙台育英をしりぞけ優勝しました。小生ら東北育ちにとって大層、残念無念でしたが、今後に期待感が強まります。その後、真理さんがFACE BOOKに書き込まれたように、全国的にやや涼しくなり、秋風が立つ9月がもうじきです。

  秋と言えば青空にひこうき雲。ちょっと強引ですが、「ひこうき雲」というとユーミンこと松任谷由美さんの歌が有名で、最近、2013年、ゼロ戦の天才設計者、三菱の堀越二郎氏をモデルとした「風立ちぬ」という題名で、宮崎駿監督・ジブリ制作のアニメ映画が話題となりました。

 天地真理さんの現在最後のオリジナルアルバム「童話作家」(1976.12.21発売)にある「ひこうき雲」は、作詩 小谷 夏、作曲 吉川忠英、編曲 船山基紀。明るい 「ひとりじゃないの」の作詞者が、おそらく真理さんと同年代の大人の男女に生じた心の大きな隔たり、かつて愛し合ったが別れは時間の問題ではと思わせる悲しく切ない心情を表現したものと思われます。


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モノクロ画像: Face Book版 天地真理 想い出の足音さん
カラー画像: hiroIGA51さん youtube版 天地真理「夢のチャペル」から

 「ひこうき雲」は天地真理さんを良く知るファンには、根強い人気があり、多くの音楽動画の題材となり、またファンに有名なブログ作者のハンドルネームでもあります。
 そういうわけで、小生には正直コメントがむずかしい曲です。真理さんは、ほかに童話作家、返信、二月の風景画、風花のさよなら、矢車草など、こんなに良い曲からなる「童話作家」というアルバムを出しながら、さして世間の話題とはならず(当時、小生は主にクラシックを聴いていましたが、たっぷり時間のある大学1年生。FMなどで真理さんの曲を聴いた記憶はありません。もっとも、1976年はピンクレディーのデビュー年でした)、翌年、1977年(昭和52年)1月、音楽と芸能活動の休業に入ります。結局この休業は、二年半余に及ぶ長い眠りとなりました。眠り・・・白雪姫だから・・・

  さて、私事ですが、受験勉強に疲れた高三後半(1975)から大学1年(1976)にかけて時々映画館に足を運んでいたのですが、ジュリー・アンドリュース主演映画か寅さんの映画だったか、合間に白黒の芸能ニュースが流れ、天地真理さんの近況が大きなスクリーンに映し出されました。その時、真理さんの歌のステージに自分とほぼ同年代の若い男性が多数押し寄せ真理さんと握手をかわす映像の後、お母さんの小料理店「てまり」に着いた真理さんが、お母さんと短い会話をして、微笑みひとつなく疲れたような悲しい表情で奥の部屋に消えていく映像が流れました。コンサートやリサイタルは男性ファンを中心に依然、人気がありましたが、レコード売り上げが大きく落ち込んでいたからでしょうか。このとき、あの明るいヒット曲で一時代をつくった超有名な天地真理さんが「こんな寂しい表情をされるときもあるんだ・・・」と驚き、ずいぶん悲しくなった記憶があります。

 ともかく、この歌は天地真理さんの数多くある名唱の一つであることは間違いないのでしょう。明るい歌、悲しむ人をやさしく慰めたり元気づけたりする歌こそ得意な真理さんですが、たまには、心の寂しさを素直に歌ってくれていて、なんだかうれしい気もいたします。

MR38 似顔絵/天地真理さん大人の歌って何?(2)


 1973年12月5日発売のLP「空いっぱいの幸せ/オリジナルポップス&フォーク」は、全12曲のうちシングルA/B面の「空いっぱいの幸せ」と「もの想う季節」を除いた10曲は、オリジナルなポップスとフォークから構成されていて、おそらく真理さんの満足度の高いアルバムだったのではないでしょうか。

 このアルバムBサイド、クニ河内氏、作詩・作曲の「似顔絵」という曲はいいですね。氏は主に作曲・編曲をなされ、布施明さんの歌う「そっとおやすみ」などを作られました。天地真理さんの中ほどの「ふたつの愛は・・・」の歌い方、ほうき雲のある青空にどんどん登っていくような心地よいファルセットが見事ですね。さわやかな、若き大人の歌、そんな感じです。何も、どろどろした恋愛や失恋の歌だけが大人の歌ではないはず。子供だけでなく、どんな大人もさわやかに明るく生きたいものですね。


  【似顔絵/天地真理 1973】
  作詩・作曲:クニ河内,編曲:青木 望

  指をまるめて のぞいた
  絵の具を流したような
  青空 ほうき雲
  小さな部屋は アトリエ
  筆をすべらす キャンバス
  あなたの似顔絵よ

   ふたつの愛は もどれないのに
   ラララ 恋は不思議ネ
   わかっていても待つのよ
   あなたの腕に すがっていたい
   私の願い 風にうらなう

  私の好きな あなたの
  瞳の色が出せない
  心はさびしくて
  時計の針は 夕ぐれ
  何を書いても みんなが
  あなたに似てしまう

   ふたつの愛は もどれないのに
   ラララ 恋は不思議ネ
   わかっていても待つのよ
   あなたのそばを 歩いていたい
   私の願い 星にうらなう


 最近、イラストレーターのKOTORAさんが、天地真理さんのイラストを公表されています。真理さんの明るくやさしい表情、おちゃめでパワフルなところも表現されています。既に知られている馬Qさんのデッサンとは別の描画形式、楽しい作品で真理さんを応援されています。新たなアーチストの応援団、真理さん、うれしいですネ。

   KOTORAさん真理さん若葉のささやき-200

    KOTORAさんの似顔絵ブログサイト


MR34 天地真理さんの大人の歌ってなんだろう?


  天地真理さんのレコードセールス、破竹の勢いはデビューから二年経過して一段落し、1973年12月5日発売のアルバム「空いっぱいの幸せ/オリジナル・ポップス&フォーク」がオリコン最高位11位、初めてのトップ10外となりました。(そうは言っても11位は大したものでしょう)
 このころは、萩本欽一さんの司会が人気の日本テレビ「スター誕生」で選ばれ、今でも有名な中三トリオ「森昌子・桜田淳子・山口百恵」が活躍し、その後、中高生の若いアイドルが大量発生して、アイドルは10代後半までの様相が確立した感がありました。このため、先にデビューしていた新・三人娘も、小柳ルミ子さんが「恋の雪別れ」を、南沙織さんが「色づく街」を歌い、大人の歌手へ路線を変更していきました。

     真理さんレコーディングかな

 天地真理さんはというと、1972年10月からはじまった冠番組「真理ちゃんとデイト」のシリーズが、半年でタイトルを替えながら依然子供たちに大人気で、結局、二年半、1975年3月まで続きました。このため、渡辺晋社長のこだわりのみならず、1973年の大人の歌手へのイメチェンは困難な情勢でした。シングル「空いっぱいの幸せ/もの想う季節」は当初、憂いを帯びた「もの想う季節」がA面の候補だったことは、ファンの中では知られたことでした。真理さんの大人の歌は、翌1974年2月の「恋人たちの港」で試みられ、さらに9月発売の初めてのバラードと言われる「想い出のセレナーデ」で、「空いっぱいの幸せ」から一年後に実現されたのでした。
  
 ところで、真理さんの一時休業は1977年1月23日からで、東京の芝ABCホールの復帰コンサートは1979年10月15日でした。この間、2年9か月。 休業の前年、1976年は、4月にコンサート「私は天地真理」を行い、6月に同アルバムを発表。12月に、現在、最後のオリジナルアルバム「童話作家」を世に出しました。ちなみに、同年のシングルは4月に矢車草、7月に愛の渚、12月に夢ほのぼの(TBS水曜劇場挿入歌)でした。
 真理さんは、復帰後、3枚のシングルを出しました。ファンの皆様はよくご存じのように、1979年12月に「愛・つづれ織り/旅人は風の国へ」、1980年9月「初恋のニコラ/不器用な女(ひと)」、そして1983年(昭和58年)2月に、現在最後のシングル「私が雪だった日/今は想い出」でした。また、復帰後のオリジナルアルバムは、まだありません。

 ここまで、書いた私の疑問は、「天地真理さんの大人の歌ってなんだろう? 」ということです。昨年YTにアップされたItoさんの貴重な動画によると上記のABCホールの復帰コンサート直後、真理さんはレポーターから「今後歌ってみたい歌は?」と聞かれて、バラードと答えていたと記憶しています。しかし、私の疑問は昨年発売された天地真理ゴールデン☆アイドルの二枚目を最後まで聴いて浮かび上がりました。復帰後の歌は、バラードで行こう等の確固たる方針はなく、大きな迷いがあったように感じられます。「初恋のニコラ」は確かにバラードで名唱でありますが、真理さんの優しさが影をひそめています。真理さんの名唱の特徴は(音楽学校出身の、クラシック的な)歌の上手さで聴く人を圧倒しない、「どう、うまいでしょ!」という歌い方はしない、聴き手に寄り添う優しさが必ずあるような気がします。

 プレミアムボックスの全アルバム曲を聴いていると、真理さんは二十歳になったばかりのファーストアルバムから大人の歌を歌っており、後のオリジナルアルバムにも、彼女の優しさを色濃く出した大人の歌、いわゆるバラードがきらきら輝く星のようにちりばめられているように見えるのです。とくに、熱心なファンの皆様のブログ名やハンドル名には、お気に入りの歌の名前が使われています。思い出の足音、もの想う季節、ひこうき雲、さくら貝、愛つづれ織りなど・・・・。これから、「真理さんの大人の歌とは?」を真理さんの歌を鑑賞しながら、少しずつ考えたい、というか、感じたいと思っています。



   『思い出の足音』
   オリジナルアルバム4th 「明日へのメロディー」 1972.12.21
   作詩:小谷 夏,作曲:菅原 進,編曲:青木 望

   小鳥も来ない朝 ひとりぼっちの朝
   私は 木漏れ日の庭先に出て
   パステルカラーの アルバムひらいて
   思い出の足音を 聴いています
    今日という日があるのに
    どうして人は思い出の中へ
    帰っていくのでしょう
     話して 誰か話して
     ひとりぼっちの私に
     話して 誰か話して
     ひとりぼっちの私に
     話して

   夜明けを待ってる夜 ひとりぼっちの夜
   私は 屋根裏の小さな部屋で
   初雪色の ギターを抱いて
   「明日へのメロディー」を歌います
    なん度さよならを言っても
    どうして人は新しい夢を
    探しつづけるのでしょう
     歌って 誰か歌って
     ひとりぼっちの私と
     歌って 誰か歌って
     ひとりぼっちの私と
     歌って
  
   (注)「 」加筆

  真理さんは、二番目の「夜明けを待ってる夜」で、躍動感のある歌声です。初雪色のギターを抱いて、アルバムのタイトルとなった「明日へのメロディー」を歌います、と続ける。アイドルソングとは一味違う、21歳、等身大の大人の女性の歌。真理さんは、「ひとりじゃないの」を作詩してくださった小谷夏氏(本名 久世光彦)の歌に、力がはいりますネ。

[引用] デビュー2年、アルバム「空いっぱいの幸せ」について
      天地真理プレミアムボックス解説文,pp15-16.

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Author:hatogairu kouen
明るき癒しの歌声、天性のファルセットを紹介し、悩める日本人を応援します。

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