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MR57  安井かずみ作詩と筒美京平作品(LP「小さな人生」)


 LP「小さな人生」の第5曲「ある恋の感想」と第11曲「明日への愛」は安井かずみ作詩、筒美京平作曲の作品です。

第5曲「ある恋の感想」(編曲:穂口雄右)
 偶然一年前の恋人と再会し、お茶に誘う。他人じゃない気安さで腕を組む。「そんなに見つめないで、髪の毛長くしたの」。新しい恋をしている、楽しい女心。二度とは会わない気持ちだったのに、「やっぱりあなたのことを愛してよかったんだ」と今はそう思えて、「とてもいい感じです」と歌います。

 「ぐううぜんん」の歌い出しも、全体に軽やかで明るい歌い方も見事です。ちょっと、小生のような無粋な男には分かりかねる女心。安井かずみさんや20代半ばの天地真理さんの恋人は、ミュージシャンとか素敵な方が多いんだろうな、やっぱりなぁ~と思ちゃう歌です(笑い)。

   ある恋の感想

   Mari Ageinさん/天地真理 ある恋の感想  再UP

 それにしても、Mari AgeinさんのY.T.作品は構成が見事ですね。真理さんの活躍、そして歌を熟知していらっしゃり、「とてもいい感じ~でぇ~すぅ~」。

第11曲「明日への愛」(編曲:萩田光雄)

 「わたしから愛をとったら何にも残らないでしょう」
真理さんは、愛情込めて「あなたから送られる倖せ(しわあせ)抱きしめて」明日を生きます、と唄います。
 「ふたりなら、例え空が曇っていても、歌があるでしょう」
 「心細い若いふたりでも、特別なめぐり逢い」
 「この愛を大切に明日へ続けたいわたしです」

  ヒロ氏 天地真理/永久の愛 「明日への愛」 Mari Amachi asue-no ai

 ドラムがゆっくりとしたリズムを刻み、真理さんは遠くに届くように伸びやかに歌います。
 20代半ばの恋する女性、まだ若い二人だけれど、明日を信じて一緒に生きて行きましょうという歌。・・・そういえば、小生も同い年の妻と結婚したのは20代半ばでした。確かに心細い二人でしたが・・・20代のうちに二人の娘をもうけ、ともかく楽しく懸命に生きてきました。ちょっとそれだけです。技術者で地方の普通の会社員、国民的スーパーアイドルとは、大分かけ離れていますけど・・・

 真理さん、ともかくいい歌ですね。コンサートの終盤に適するような歌ではないかと思います。


MR58 LP「小さな人生」の筒美京平作品/シングル曲


 昨年、年末から聴込み考察してきたLP「小さな人生」ですが、残すところ2枚のシングル曲となりました。すなわち、次の4曲です。

・LP「小さな人生」の第6曲「さよならこんにちは」と第8曲「明日また」(いずれも山口洋子・安井かずみ作詩、筒美京平作・編曲)・・・15枚目のシングルのA,B面で、1975年9月1日発売。

・同LPの第7曲「夕陽のスケッチ」(宮中雲子作詩/筒美京平作曲/萩田光雄編曲)と第12曲「小さな人生」(安井かずみ作詩/筒美京平作曲/萩田光雄編曲)・・・16枚目のシングルのA,B面で、1975年12月5日発売。

  LP小さな人生ジャケット

第6曲「さよならこんにちは」
 曲名の「さよなら さよなら こんにちは」が軽快な旋律で歌われる楽しい曲です。真理さんは公式HP(ウェブサイト)のファン限定のインタビューで、「しばらく低迷していた私ですが、この曲を作ってくださり、感謝しています。」と語っています。
 明るい曲で、公開されている動画では、今も知られる歌手の方々が真理さんのバックでリズムにのって軽く体をスィングさせていた音楽番組を見ることがあります。この曲はオリコン最高位36位でした。

  さよならこんにちはジャケット初公開

   Sugi4Geruさん 天地真理「さよならこんにちわ」1975.8.26 歌のグランプリ

第8曲「明日また」
 天地真理さんの歌では、もっとも可愛く色っぽい歌詞が並び、ちょっと恥ずかしくなる曲です。
 「行きませんかと 誘われたの」、「さりげなく私 断ったのよ」で始まります。
 そしてすぐ「とてもふしぎね 彼の前じゃ 素直になれない」とぶりっこします。
 とくに2番の「夢の中では とうに私 くちづけもしたし あなたのものよ」は、かつて山上路夫氏が作詩に制限が多かったと話されたことが、嘘のような艶っぽさ。
 私は個人的に大好きな歌ですネ。真理さん、冗談じゃないです、家内や家族には隠れて、ヘッドフォンでこっそり聴き、ニンマリする・・・男っていくつになってもバカですね。

   エヴァ氏 天地真理 ☆ 明日また

第7曲「夕陽のスケッチ」
 雄大な真っ赤な夕陽を連想させます。演歌調の伴奏なので、真理さんは演歌にチャレンジしたと言えるかも知れません。

   夕陽のスケッチ初公開

   Mari Ageinさん 天地真理 夕陽のスケッチ 1975

第12曲(とり)「小さな人生」
 何回か私のブログで取り上げていますが、若きカップルの今とこれからの人生を応援する歌です。
 特に出だしの「西日がさしこむ窓/低くかけたラジオの歌に/振り向く二人がここにいます」と天地真理さんのファルセットは明るく伸びやかです。

 このようにLP「小さな人生」は、何度も繰り返し聴いてみると、1975年(昭和50年)、冠TV番組の「真理ちゃんシリーズ」の収録を二月に終え、一か月のヨーロッパ休暇旅行、帰国後、春から初夏にかけて約一か月、主演ミュージカルを演じ、夏には大阪・梅田コマでのワンマンショー、秋には各地で民音コンサートを行い、この間、いつものような幾枚かのシングルリリースと歌番組出演、またアイドルとしての多忙な仕事をこなし続けた真理さんの一年の総決算のようなアルバムであることが分かります。

 1975年も、珠玉の歌を唄い続けた天地真理さん。子供に大人気の優しく明るいお姉さんから、大人の歌を歌う歌手に大きく方向転換を図った真理さんでしたが、大衆はこのイメチェンについていけたのでしょうか。レコードセールスの急激な落ち込みは、真理さんの歌への評価が落ちたのではなく、普通の大衆、視聴者はこの大きなイメージチェンジに追従できなかった、ただそれだけだったのではないか。この年、根拠のないマスコミのゴシップ記事が嵐のように襲ったとされますが、これは作為的な営業妨害の一種だったのではないか。今話題のベッキーさんへの過度な芸能界、マスコミの非難も、圧倒的な人気者に対するもので、よくあることなのでしょうか。

 いずれにしても、天地真理さんの歌唱は、さらに磨きをかけた1975年から1976年でした。1977年からの長期休業後、遠に過ぎたことではありますが、真理さんは、むしろこの頃の秀出た曲群のセルフカバーを行い、歌手・天地真理の実力を知らしめる機会とする方がよかったのではないか、と考えてしまう私です。

 さて、セルフカバーといえば、最近は森高千里さんが、若き日に歌った曲を200曲、ご自身で再度歌い、YouTubeで発表しています。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、彼女は40代でしょうか、TVの歌番組の司会でも活躍中で、精力的です。
 次のセルフカバーは、かつて1989年、南沙織さんの「17才」をリメイクしシングルとして発売して評判になったことがあり、23年後の2012年公開収録したものとのことです。
 天地真理さんもセルフカバー出来たらいいのになぁ~。

  

 今や俳優・江口洋介氏の細君となり、一男一女の母であり、ドラマーでもある森高千里さん。若い時は、お人形さんのようなステージ・ミニスカートで、非実力派宣言をしたり、「私がおばさんになっても」でヒットを飛ばしたり、ちょっと変わったヤンキー少女のイメージがありましたが、自ら作詞した「渡良瀬橋」で、独自の歌の世界を確立した感があります。「水色の恋」から「想い出のセレナーデ」まで、天地真理ワールドは、真理さんご自身にしか歌えないのと同じです。

 森高さんは夕陽のきれいな渡良瀬橋で、あなたを想う爽やかな恋を歌いました。
 また、次の「雨」(作詞:森高千里、作曲:松浦誠二、編曲:斉藤英夫)もいい歌です。
 
  森高千里 『雨』 【セルフカヴァー】

 森高さんの歌の多くは自身の作詩。作詩家による歌がすべての天地真理さんは、「想い出のセレナーデ」以降、静かな歌は恋の終わりを唄う歌が多かった。森高さんの歌のように落ち着いて聴いて居れる曲はあったかなぁ? 真理さんの歌は何故か少し不安げな気がします。真理さんの本当の心情を歌った歌はいくつあったのでしょうか?

  森高千里 『夏の日』 【セルフカヴァー】


MR59  岩谷時子女史と筒美京平作品/LP「童話作家」


 今日はひな祭り。北日本はまだ少し寒い気候が続いていますが、春はもうじきです。
 ところで、今まで、LP「小さな人生」に収録された筒美京平作品について感想を述べてきましたが、最後に、このLP以後の「矢車草」と「一杯のレモンティー」についてみてみましょう。

 今までのおさらいをすると、筒美京平氏作曲による天地真理さんのシングル曲は、次の3枚、全6曲ですね。

・15枚目のシングル(1975.9.1)  さよならこんにちは/明日また
・16枚目のシングル(1975.12.5)  夕陽のスケッチ/小さな人生
・17枚目のシングル(1976.4.21)  矢車草/一杯のレモンティー

 この中で、16枚目のシングル曲までは、1975年12月発売のLP「小さな人生」に収録されていますが、このLP以降に発売された17枚目のシングル曲は、A面、B面ともに岩谷時子さんの作詩で、1976年12月発売の「童話作家」に収録されました。

 岩谷時子さんは、1916年生まれ、2013年没、昭和歌謡曲の代表的作詞家、訳詩家として有名です。越路吹雪さんと親交があつく、越路さんの生涯マネジャーでした。

 岩谷時子音楽文化振興財団公式Website

 岩谷さん、ヒット曲は多数で、越路吹雪「愛の賛歌」、「サン・トワ・マミー」、ザ・ピーナッツ「ふりむかないで」、「恋のバカンス」、岸洋子「夜明けのうた」、加山雄三「君といつまでも」、「お嫁においで」、ピンキーとキラーズ「恋の季節」など、それこそ、忘っすれられないの~♪の名曲を多数世に送り出しました。

 加山雄三 君といつまでも エレキの若大将(1965年・S40年)

 お嫁においで 加山雄三 (1966年・S41年)

 恋の季節 ピンキーとキラーズ 1996 (1968年・S43年)

  矢車草NGB2013cap
 
  gessyさん 名曲「矢車草」 天地真理さん

  ヒロ氏 天地真理 ハイカラ茶房 「一杯のレモンティー」 

 この後、1976年7月、岩谷時子作詩、加山雄三(弾厚作)作曲の明るい「愛の渚」が、真理さんの18枚目のシングルとしてリリースされたのでした。

 矢車草も愛の渚も、シングルジャケットは明るい真理さんの写真が採用され、かつてのファンクラブ会員の方でしょうか、「真理さんが、また、明るくなってホッとした。」とする当時の感想が、動画サイトのコメント欄に見られます。

  Mari Ageinさん 天地真理 愛の渚 再UP

 さて、ここまで話して何かが少し引っ掛かります。

 それは、1975年4月発売の「愛のアルバム/京都でひとり」、同年5月発売でミュージカル「君よ知るや南の国」のプロモートシングル「初めての涙」を売り出していた頃、音楽番組出演時の衣装とお化粧、ストレートヘアー気味のショートカットのことです。これまでの、笑顔の真理さんを改め、「大人の愛を歌う天地真理」的な売出し戦略だったと思われます。

   愛のアルバム003
   Mixchan.さん 愛のアルバム

   初めての涙002
   Mixyann.さん 天地真理/初めての涙

 さて、上の動画を見ると、このイメチェンは、ご本人にとって精神や嗜好がどこかジャストミートしていないと思われるイメージ、だったのではないか。 何故なら、保母さんという職業に憧れていたという真理さんは、大人の歌に没頭するよりも、自分の気持ちのままスタジオ見学の幼い少女に近寄り、やさしく話しかけているように見えるから。また、多少ジョークかも知れませんが、カメラ目線が、真理さんにしては落ち着かず、何かを訴えているように感じられるからです。


プロフィール

hatogairu kouen

Author:hatogairu kouen
大津波の甚大な被害は住民にも地域にも大きなPTSD(心的外傷後ストレス障害)。「夏を忘れた海」と生きる人々の心の復興を願う三陸海岸K市育ち。杜の都在。

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