MH10.1 フォークソングと天地真理(その2)/吉田拓郎


 天地真理さんは、フォークソングが大好きです。真理さんは、ファーストアルバムで北山修・加藤和彦両氏の「あの素晴らしい愛をもう一度」、同じく北山氏と杉田二郎氏の「涙は明日に」、赤い鳥の「忘れていた朝」を熱唱し、その後も吉田拓郎さんの歌った「結婚しようよ」、「ある雨の日の情景」、「春の風が吹いていたら」など、当時旬のフォークソングを好んでカバーしています。
 ちなみに、「結婚しようよ」は、真理さんのデビュー二年目「ひとりじゃないの」が大ヒットした1972年(昭和47年)、若い世代を中心に大ブームとなった曲でした。「僕の髪が肩まで伸びて君と同じになったら、約束通り町の教会で結婚しようよ~」などと、今から思えば、たわいのない歌詞なのに、不思議に斬新で、若さにあふれた爽やかなフォークでした。吉田拓郎の登場は今では、日本のフォークソングをアングラからメジャーにしたJ-ポップの幕開けとして扱われているようです。

 拓郎さんの歌には、恋や愛に限らず、「青春群像」や「人間愛」が感じられる大きな歌が少なくありません。天地真理さんは確かに、美しく性格も可愛いアイドルでしたが、時々人間愛や人生を歌うところがあり、やはりフォークソングが好きなのだなぁと思ってしまいます。



吉田拓郎/落陽(らくよう)~苫小牧発仙台行きフェリー~

 この曲は1973年(昭和48年)に中野サンプラザで行われた「吉田拓郎リサイタル」で初めて発表され、その時の演奏がライブアルバム『よしだたくろう LIVE'73』に収録されたとのこと。(1973年は天地真理第三年、「若葉のささやき」や「恋する夏の日」の発表年)
 石川鷹彦さんは、太田忠さんのFM軽井沢「天地真理特集」で、ギターの名手、かつ真理さんの歌の編曲者として良くお名前が上がりますね。
 そういえば、小生、1979年、道北(天塩)の野外実習の帰り、一人で稚内までヒッチハイクし、利尻島に渡り、多くの若い旅人と利尻山に登りました。あの頃は、ユースホステルに全国から学生や若者が集い、北海道を旅していました。若者の旅にフェリーはつきもの、この「落陽」もかならずどこかで聞こえていたように思います。

rishirirebun-p_sub
利尻富士



♪落 陽 [最高の花火!]吉田拓郎 & かぐや姫 in つま恋 2006




吉田拓郎/今日までそして明日から
 

 天地真理さんのフォークと言えば、1971年、十九から二十歳にかけて吹き込んだファーストアルバムのカバー曲、人気が一段落したが最も伸びのあるファルセットを駆使した1973年の7thアルバム「空いっぱいの幸せ/オリジナル・ポップス&フォーク」のオリジナル曲、そして真理さんが”フォーク調”とした1974年の「天地真理オン・ステージ」、1976年の「私は天地真理」ライブで歌った主に「なごり雪」等の有名なフォークのカバー曲があります。

 フォーク・ソングは欧米のように民謡や反戦歌の意味合いの薄い日本では、単にフォークともよばれ、「ばらが咲いた」、「受験生ブルース」、「帰ってきたヨッパライ」、「神田川」などのように、若者の現実的な幸いを求めた日本的な小世界を歌って、学生運動時代の若者に浸透したように思われます。

 この意味では、天地真理さんの歌唱は、ファーストアルバムの「あの素晴らしい愛をもう一度」や「涙は明日に」などをオリジナルと聴き比べるとよくわかるように、曲調がかなり明るく、語尾のはね上げなど、滝を上る鯉のごとく、生き生きとした「天地真理ワールド」を表現しています。北山修氏と加藤和彦さん、杉田二郎さんらのちょっと暗めのフォークを日本のフォークの本流とすると、真理さんの歌うフォークに合わせて、長髪や着古したジーンズ姿の、野外コンサートに集まった学生や若者が盛り上がる姿はちょっと想像しにくい感じがします。

 真理さんは、音大付属中学・高校と6年間、クラシックの専門教育を受けるなかで、疑問を抱き、ジョーン・バエズに感化され、ギターを弾き、フォークを歌うようになりました。だから、彼女のドナドナやデビュー曲「水色の恋」はフォークとして素晴らしいのではないでしょうか。反面、アイドルに路線転向をしてからは低い地声を封印してフォークを歌ったため、それはオリジナルとは異なった明るい、いわばJポップやニューミュージックと呼ばれるような歌になったのではないか。たしかに、1975年、フォークの装いで「時代」を歌った中島みゆきさんは、フォーク歌手とは言われず、シンガーソングライター、ニューミュージックの歌い手と呼ばれました。

 クラシック教育に疑問を持ち、フォークの世界にあこがれた真理さんでしたが、皮肉にもクラシック教育による美しいファルセットで心のこもった歌を数多く歌うことになった真理さん。フォークにあこがれながら、旬なフォーク曲を度々カバーした真理さんではありましたが、「水色の恋」を除くと、オリジナルなフォーク調のヒットに至らなかった理由は、このようなことが一因だったのではないかと、素人ながら想像いたします。

 昨晩、拓郎さんの歌を何度も繰り返し聴いた後に、天地真理さんによるオリジナルフォークの代表的一曲を探していると、プレミアム・ボックスでは、これだという曲があまりピンときませんでした。だからこそ、逆に、「天地真理オン・ステージ」のオープニングのアコースティックギターによる伴奏の「水色の恋」や「私は天地真理」の真理さん自らのギター弾き語りの「矢車草」などが、フォークをこよなく愛する天地真理の神髄の一面をよく表すフォーク的名唱として浮かび上がるのかもしれません。(以上は、音楽のずぶの素人の小生の個人的感想です。真理さん、ファンの皆様、悪しからず、お許しを)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hatogairu kouen

Author:hatogairu kouen
明るき癒しの歌声、天性のファルセットを紹介し、悩める日本人を応援します。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ようこそ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR