MW22.2 銀阿鉄道の夜(その3)


 関東、関西はさくらは満開のピークを過ぎたのでは。天地真理さんは真保さんやお友達とお花見、いかがでしたでしょうか。
 仙台は満開が近づいたようですが、今日は肌寒いです。わたしは家内と週末、市内か県内の名所に花見に出かけたいと思います。
 小生は、年度末の成果品の納品がちょっと大変でしたが、四月になっても、間をおかず、復興などの工事発注業務のための直しが続いており、ちょっと精神的に疲れて本日は有給休暇(最近の深キョンのテレビCMだとYOU-CUTE?)をとって休んでいます。
 また、このようなときに真理さんの特集ラジオ深夜便があったりして、趣味とはいえ熱を入れすぎました。
 ここは、郷里の詩人「宮澤賢治」にまた戻り、普通の精神状態に戻したいと思います(笑)。

 さて、「銀河鉄道(その2)」では、物語後半の「十、突然の同乗者」について詳しく書きました。いわば、起承転結の転にあたる内容です。今回、その3では、物語の終盤について書きたいと思います。
 このお話は、突き詰めるとジョバンニと親友・カンパネルラのお話しです。カンパネルラは、実は銀河の祭りの夜、からす瓜の灯篭を川に流すために乗った船から投げ出され、ジョバンニのいじめっ子を助けて自らは溺れ行方不明となったのでした。ジョバンニはうたたねした丘で目覚めて、銀河鉄道の旅は、カンパネルラにとっては天国への死者の旅だったことを悟るのでした。
 この物語は賢治によって何度も推敲された未完の物語と言われています。「死」がテーマの世界水準の文学とも言われ、「ほんとうのさいわいとは一体何だろう」と問いかけているのです。

銀河鉄道の夜草稿第一葉-500
 宮澤賢治「銀河鉄道の夜」の草稿第一葉 /ロジャー・パルバース NHK100分de名著(2011年12月),巻頭より

【後半の内容】
 十、突然の同乗者「氷山と客船」
 次に同乗してきたのは男の子とお姉さんの子供二人(姉弟)と家庭教師の青年でした。当時、大きく報道されたタイタニック号の客船沈没事故(1912年[明治45年]4月14日)の被害者とみられる人たちでした。
 
 十一、りんご
 おいしい大きなリンゴを、車内のみんなでごちそうになります。農学校の先生で、自らも農業をしていた宮澤賢治。品種改良の動向にも詳しかったのでしょう。また、ほかに何かの象徴の意味もあるのでしょうか。
 リンゴは、いまでこそ「炬燵にみかん」と言われる時代ですが、戦前から戦後1960年代までは、日本人にとって、特に北国の人たちにとっては最も好まれた果物はリンゴ(林檎)だったのではないでしょうか。蜜のはいったデリシャスという品種もありました。
 当物語では、ジョバンニが星祭の夜、小高い丘から見た夜行列車の中に、リンゴを食べたりして楽しく旅する乗客を連想しています。また、氷山との衝突の海難事故者3名の登場は、リンゴのおいしい香りがした直後でした。

 2016いわてりんご冬恋jA
 2016年 岩手りんご新種「冬恋」販売キャンペーン(岩手県達増知事と能年玲奈)
 
 「いかがですか。こういう苹果(りんご)はおはじめてでしょう」 向こうの席の灯台看守が、黄金と紅でうつくしく色どられた大きな苹果を落とさないように両手で膝の上に抱えていました。・・・同乗者の大人もこどもも、大切にリンゴをいただきます。お姉さん(かおるねえさん)はやっとお目覚めですが、男の子(たーちゃん)はまるでパイを食べるように食べています。
 「また、せっかくむいたそのきれいな皮も、くるくるコルク抜きのような形になって床に落ちるまでの間にはすっと灰色に光って蒸発してしまうのでした・・・」

 十二、「かささぎ」と孔雀
 ジョバンニ、カンパネルラ、同乗者の女の子、空行く多数の渡り鳥に目を奪われます。ゆったりとした服の男が、鳥の群れを誘導します。見事な自然の光景が浮かび上がります。
 カンパネルラは女の子と楽しそうに渡り鳥、孔雀の話で盛り上がっています。けど、少年ジョバンニは嫉妬して機嫌が悪いのです。女の子にではありません、ジョバンニとどこまでも二人仲良く旅したいのでした。

 十三、新世界交響曲とインディアン
 車窓にまでながれるドヴォルザークの新世界交響曲。そして空行く鳥を打つ馬上のアメリカインディアンたち。タイタニック号の死者と思しき同乗者は、ヨーロッパからアメリカへ帰る途中でした。アメリカが故郷の人たちでした。

 Antonin Dvorak - New World Symphony Part II Largo 

 崖の上を行く銀河鉄道。川は深い谷の底を流れています。まさにコロラド渓谷(グランドキャニオン)に似ています。
 見渡す限りのトウモロコシ畑、いわゆるデントコーン畑でしょうか?

 ここで、工兵部隊が架橋演習中です。火薬で川に発破し、魚をとるシーンが挿入されています。これも何を暗示しているのでしょうか?

 十四、双子のお星さま
 空の星座を守る宮の双子のお星さま。賢治の童話「双子の星」に出てきます。

 星めぐりの歌.wmv/reinhot6 さん

 十五、サソリの火
 わがままなサソリの事は、上の「双子の星」に出てきますが、ここでは普段、たくさんの小さな虫などを殺して食べていたサソリがある日イタチに食べられそうになり井戸に落ちて溺れ死ぬ際、みなの幸いの為にこの身をお使い下さいと神様に祈るお話しです。このように、人は誰もがこの身を焼いてでも、他人に尽くすべきでしょうか・・・

 宮沢賢治・銀河鉄道の夜「さそりの火燃える」 歌・青木由有子

十六、サザンクロスと石炭袋
 天国への終着駅は「南十字星」すなわち「サザンクロス」です。

「もうじきサザンクロスです。おりる支度をして下さい。」青年がみんなに云いました。
「僕、も少し汽車へ乗ってるんだよ。」男の子が云いました。
ジョバンニがこらえ兼ねて云いました。「僕たちと一緒に乗っていこう。僕たちどこまでだって行ける切符を・・・」
「だけどあたしたちもうここで降りなきゃいけないのよ。ここ天上へ行くとこなんだから。」女の子がさびしそうに云いました。
「さあもう仕度はいいんですか。もうじきサザンクロスですから。」

 悲しいですがお別れです。「じゃさようなら」女の子がふりかえって二人に告げました。・・・Mさんなら「また逢うためにさようなら」と歌うのでしょうか。
 ここまでが、突然の同乗者との旅。天国への旅路でした。

 見えない天の川のずっと川下に青や橙やもうあらゆる光でちりばめられた十字架がまるで一本の木という風に川の中から立って、かがやきその上には青白い雲がまるい環になって後光のようにかかっているのでした。・・・

 他の乗客が下車し、また二人っきりになったジョバンニとカンパネルラの最後の会話が始まります。

「カンパネルラ、また僕たちふたりっきりになったね。どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸いのためならば僕のからだなんて百ぺん灼(や)いてもかまわない。」
「うん。僕だってそうだ。」

「けれどもほんとうのさいわいは一体なんだろう」ジョバンニが云いました。
「僕わからない。」カンパネルラがぼんやり云いました。

 ここで、南十字星のα星の真東にある暗黒星雲、「石炭袋」(コール・サック Coalsac)を初めて見てドキッとするジョバンニ。ただし南半球では、昔からよく知られているのですね。

 コールサック南十字星Wikip

 石炭袋南十字星写真img_1

「僕もうあんな大きな暗(やみ)の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうの幸いを探し行く。どこまでも一緒に・・・」
「ああきっと行くよ。ああ、あすこの野原はなんてきれいなんだろう。みんな集まっているね。あすこが本当の天上なんだ。あっあすこにいるのは僕のお母さんだよ。」カンパネルラは指さして叫びました・・・

 ジョバンニとカンパネルラ
   銀河鉄道の夜 宮澤賢治/ロジャー・パルバース 
   NHK100分de名著から p53.

 久石讓- 銀河鐵道之夜.wmv

 十七、覚醒、そして親友の水難事故死
 「ジョバンニは目をひらきました。もとの丘の草の中につかれてねむっていたのでした。胸は何だかおかしく熱り、頬につめたい涙が流れていました。ジョバンニはばねのようにはね起きました。」そして、牛乳屋さんでお母さんの為にまだ熱い牛乳を受け取って町に出ると、橋のそばで七、八人集まってヒソヒソ話をする女性たちから、「こどもが水に落ちたんですよ。」と聞かされます。

 駆けつけたジョバンニは、学校の友だちから川に落ちたザネリの身代わりでカンパネルラが川に入って見つからないことを知らされました。橋の上の大勢の人たち、白い服を着た巡査、魚をとるときのアセチレンランプがたくさん行ったり来たり・・・。
 「下流の方は川幅いっぱい銀河が巨きく写ってまるで水のないそのままの空のようにみえました。」
 「ジョバンニはそのカンパネルラはもうあの銀河のはずれにしかいないというような気がしてしかたなかったのです。」

 カンパネルラのお父さんは博士とよばれる紳士。夜の川に投げ出された息子の捜索が長引き、時計を見て冷静にあきらめています。「もう駄目です。落ちてから45分たちましたから。」そして、拿捕されていたジョバンニのお父さんの帰国情報を知っており、ジョバンニに、病身のお母さんのもとに帰るよう促すのでした。

 冨田勲 イーハトーヴ交響曲 東北から響け! 宮沢賢治の世界

 
 地元・岩手県で大切にされる宮澤賢治と銀河鉄道 「SL銀河」JR東日本盛岡支社

 
 冬の花巻~遠野行き SL銀河 めがね橋を行く

 賢治いわく「永久の未完成これ完成である」(農民芸術概論綱要)
 構成を大きく変えて四稿し、なお手元において推敲していた「銀河鉄道の夜」は、宮澤賢治が世界の誰にも伝えたいと考えた物語なのではないでしょうか。
 このブログでは、三回に分けて学びましたが、各所にちりばめられた銀河宇宙の壮麗な表現、また解釈のむずかしい会話や人物など、奥の深い作品であります。賢治の他の作品と共に、人生後半、まだまだ、考えて行きたいと思います。

 なるほど・・・いつまでも どこまでも・・・です。

[参考文献]宮澤賢治スペシャル-16作品が照らし出す心の真実-山下聖美(きよみ),NHKテキスト 100分de名著,2017.3

 2017年5月21日加筆 (ひとまず終わり)

コメントの投稿

非公開コメント

春の東北

こんばんわ、ハトが居る公園さん。熊五郎です。
世間では明日からGWですが、熊五郎はちょっとズラして15日から25日まで新潟~一関~盛岡と桜の花見旅へ出かけておりました。新潟の浦佐ではカタクリと桜と山野草の花々で春爛漫でございました。特にカタクリは天ぷらにして食べ、コゴメはみそ汁にと春を満喫いたしましたよ。一関ではれーめんを、小岩井農場の付近で車の中で野宿、満点の星空の下でコシアブラ、フキ、ウルイなどを天ぷらにして春のごちそうをいたしました。GWはとお~い所へゆかず、古本、レコード屋をめぐって真理ちゃん探しです。ハトが居る公園さんは、GWはいかがお過ごしでしょうか?私のように、真理ちゃん探しかな?
ところでブログを出している先輩としてブログをいかにセキュリティをしているのでしょうか?なぜこんなことを聴くかというと、私もブログを出せるぐらい材料もデータもあるのです。でも正直セキュリティーに対する知識ゼロだし、炎上した場合、対策に時間をとられるのが面倒なんです。イマイチ踏み込めないでいるのです。

Re: 春の東北

こんにちは、熊五郎さん。復興大臣じゃなくても、東北でよかった?小岩井農場はなつかしい。子供たちとたくさん遊びましたから。このGWは仙台に、孫ちゃんが来ますので、水族館や動物園で遊びます。母の住む釜石の実家にもいかなくちゃ・・・。

あと一年で還暦なんて信じたくないです。まだ、「真理さ~ん!」てやってますから。
熊五郎さんもブログやってください。炎上するなんて、よほど有名な芸能人で軽率な方でないと無いですよ。

僕はこのブログで何度も書いていますが、(真理さんファンは、大方、東北で良かった!の方々ですか、スルーでしょ)、
あの大震災・大津波の復旧を建設コンサルタントの職業柄、混乱の中、ハードワークしていましたから、
YouTubeで再発見した真理さんの美声に感激して、約二万人が大波にのまれて亡くなった悲劇の沿岸に立ち入る日々で、
清水の舞台から飛び降りるように、Y.T.とブログで真理さんの応援を始めました。

熊五郎さんも、いつ首都圏大地震や東海・南海トラフの大津波であっけなくあの世の方になるかも知れませんよ。
まずカイより始めよ?ジャーニー!!

どうにかなるだろう?

こんばんわ、はとが居る公園さん。熊五郎です。
そうだよね。やっていないうちから心配してもショウガナイ。
セブンからウィンドウズ10にバージョンアップしてからというものどうもパソコンの調子がよくない。2台あるパソコンの1台が、買ってからまだ2年しか経ていないのに液晶のバックライトが流れだすような模様となり、あわてて、データのバックアップを行い、データがお釈迦様になるのではないかとあわてております。もう一台の2009年製のパソコンをひっぱりだしてきてここのコメントを打っている次第です。今度は絶対に安物パソコンは買わんぞ。なんで次から次へと安物パソコンは面倒を起こすのだろう?とにかく、6月まではブログを出さねば・・・。

Re: どうにかなるだろう?

熊五郎さまに打電! 「アマチマリサン ゲンキ ケントウヲ イノル」ジャンチャン!
プロフィール

hatogairu kouen

Author:hatogairu kouen
明るき癒しの歌声、天性のファルセットを紹介し、悩める日本人を応援します。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ようこそ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR