BL 19 歌手・天地真理とファルセット


 天地真理さんの歌う地声はやや低い。本来アルト歌手(注1)ではないのか。デビューシングルのB面 「風を見た人」、あるいは22枚目のシングルA面 「初恋のニコラ」 の音域のごとく。

  天地真理 ☆ 風を見た人 1971.10.1

 (注1)[正しくは「メゾソプラノ」とのことです。(2014.2.15放送 FM軽井沢 天地真理ミュージック・コレクション)]

 天地真理は、当時の桜田淳子らアイドルを紹介したある番組で、司会者みのもんたに聞かれて、ファルセットはヨーデルのようなものと答えている。のどの酷使と体調不良も重なり、歌手活動の一線から退いて長きにわたると、この全盛期のファルセットを再現することは本人をもってしても至難の業なのであろうか。
 天地真理のCD音源のいずれもがそうであるが、例えばソニーミュージック発売のゴールデンベストMari Amachi Complete Singles Collection and moreのシングルA面全22曲、およびその他珠玉24曲を合わせ聴くと、全曲、丁寧にファルセットの素晴らしい響きをコンスタントに発揮している。本人によるとレコーディングは、スタジオで初めて譜面をみてピアノを二回ほど弾いて、すぐ本番という感じだったという。5)
 また、天地真理プレミアム・ボックスにあるライブ音源、ミュージカル音源も天地真理の舞台での歌唱の上手さをこれでもかと言わんばかりに存分に示している。

 ところで、インターネットサイトYou TubeにUPされている再生リスト「天地真理名曲100選」(nmyushinさん)を流し聞いていると、1,2曲、低音の声で、別の歌手の歌が紛れ込んだかと思われる歌がある。例えば、1975.4.7TBSモーニングジャンボ奥様8時半ですで歌った「赤ちょうちん」や1975年4,5月頃のテレビ番組で布施明と共演した「心もよう」、「夢の中へ」(・・・どちらも井上陽水の曲)などがそれにあたる。
 しかし、よく聞いてみると語尾は天地真理のやさしいそれであるし、さびの伸びやかなファルセットはまぎれもない天地真理である。本来の地声は低音、アルト(注1)ではないかと思われる点はここにある。

  amhikokigumoさん 天地真理/赤ちょうちん 
             
   天地真理 布施明 陽水を歌う

 ちなみに、天地真理さんがスタジオで和やかにファルセットで歌うと・・・

  momocyaさん あなたと共に(アタック!真理ちゃん)/天地真理

 本人は、あまり説明することはないが、40歳になって愛娘・真保さんが幼児期を過ぎ、芸能活動を再開するとのタイミングで、ワイドショーと思しき番組のインタビューで、「いまさら若い時の歌声でもないので・・・」と発言されている。
 これは裏をかえすと、あの天使の美声は、音楽の専門教育を受け、後にフォークソング歌手を目指してレッスンを積んだ若き日の天地真理が会得した高度な歌唱法というのが真実ではないのか、との見方が可能と思われる。

 天地真理全盛期、音楽賞での歌唱など、かなり入念に化粧し、清潔感いっぱいのかわいい衣装(白い襟が印象的)を身にまとい、しかし一曲歌うのに長時間待たされ、かつステージに上がると多数の観客の一斉の大歓声、女性アイドルとしての魅惑の美しさに対し、高音の指笛で恋心を主張する多数の青年たちが突然現れ、スーパーアイドルに瞬間的に変身するため、本人はかなり興奮しているように見える。歌う動作がいつもより激しく上下に揺れる。(1973年、第4回日本歌謡大賞のステージなど)
 アイドル絶頂期、テレビで注目される場面で、その日ののどのコンデションや精神状況、あるいは疲労度によって、単なる地声とは異なる高度なクラシック歌唱法、ファルセットが十分には制御できなかったこと、これが、巷でまことしやかに言われた「歌唱力が低い」という汚名的評価の真相ではないのか。(注2)

 (注2)[彼女のファルセットが地声とは異なる発声法のため、いわゆるアイドリングが必要で、多忙なスケジュール下でのテレビ番組やラジオ公開録音などでは、十分な準備時間が無く、本来ののびやかなファルセットで歌えなかった可能性を指摘する人もいる。ちなみに当時の録音を注意深く聴くと番組の後半になって声がのびやかに響く様子がうかがえる場合がある。一方、用意周到なコンサートやリサイタルでは伸びやかなファルセットを存分に発揮している(コンサート「私は天地真理」が代表的)。また、私見ではあるが、アイドルには上手な歌より元気いっぱいの明るい歌声を求めたスタッフの営業戦略、あるいは純粋に聴衆に元気を届けたいとする真理さんの心意気が、TV番組で見られる上手さにこだわらない歌唱につながったのかもしれません。(2015.4.1追記)]

 しかし、現在、ファンの中には音楽家も少なからずおり、歌手、歌唱の評価はかなり高い。

 真理さんの若き日の数多ある歌唱の音源や歌唱の動画が、今なお多くの人の心を元気づけ、癒す力を持つのは、真理さんの明るさとやさしい人柄によるものであると同時に、教育・訓練・努力によって培われたクラシック歌唱法、「至宝のファルセット」のおかげではないのか。
 その豊かな音楽性、本人と歌唱の一体性から、一部のファンに、天地真理は「天性の歌手」と呼ばれ、あるいは「天才(歌手)」とも評される。

 やや偏った見方ではあるが、古今東西、概して天才はリアルタイムには専門家も含め、常人、あるいは一般大衆に理解されないことがむしろ普通である。
 モーツァルト(著作権などの作曲者への還元がなかった時代の天才、人類の宝物)、キャベンディッシュ(イギリスの物理学者でニュートンの万有引力の法則を室内実験で証明した人見知りの孤独な学者)、画家ゴッホ、チャールズ・グッドイヤー(アメリカの加硫ゴムの発明者。天然ゴムの加工・安定な製品化に多大な貢献をした。研究費の借金で何度も投獄された)、石川啄木(「雲は天才である」を書いた。三行分かち書きの才ある短歌で有名。明治45年、東京小石川で病死、享年26才)、宮沢賢治(詩人、童話作家。雨にも負けず、銀河鉄道の夜などで今も愛される。全国民的認知は生誕100年、没後60年の1996年頃とされ、映画制作や書籍出版がにぎやかだった)などなど、高いレベルでこれまでにないユニークな成果を成し遂げた後、正しく評価されるまで、長い年月が経過する事例は数多くあげられる。

・・・天才的な才能、天性の才能は、時を経て必ず再評価される。真理さん、真保さん、われわれ凡才は、そのように期待するのです。天地真理、その優しく美しい歌声、天性のファルセットは永遠に不滅です。


     私は天地真理image

      やはり歌手が良く似合う。
      ライブ「私は天地真理」にて、オー・マリヤーナ熱唱
      amhikokigumoさん O Marijana,Croatian song


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明るき癒しの歌声、天性のファルセットを紹介し、悩める日本人を応援します。

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